佐渡テレビジョン

新春短歌 ~一般の部~

福嶋 徹夫 選  応募総数 115首

特  選 新潟日報社賞

初空を截りて翔びたつ朱鷺二羽の
         二〇一〇年育むごとし   保科 ひろし (畑野)

準特選

みどり児に初春の陽のやはらかし
        二十二世紀までも覗る瞳に     渡辺 敏雄 (畑野)

準特選

恒例の箱根駅伝見せむとて
        夫の遺影をテレビに向けぬ     石川  幸 (城腰)

秀   逸

千年の杉の社にぬかづきて
        四代揃ふ感謝の祷り     北見 芳江 (吾潟)

納屋なかに亡き父偲び注連を綯ふ
        頬被りして父の顔して    高埜 健蔵 (滝脇)

来る年も良きこと願い供え餅
        丸めることも老いの倖せ   長野 完二 (大和)

母となりし娘の祈り長きかな
        初日差しくる古里の宮    中川 ミキヨ(宮川)

吾が介護の老母と二人の正月ぞ
        御飯に味噌汁我が家のお節  中川 宏之(赤泊)

産土の初神酒拝みて飲み干せり
        寝たきりの父面改めて    渡辺 和弘(両津夷)

若水をつるべに汲めばあふれ落つ
        井戸に響ける水音澄めり   土屋 弘治(千種)

佳  作

さり気ない夫の一言身に沁みる
      二人で一人初春の朝     髙橋 アサ子(福浦)

若きらが移り来し町初顔の
      寄り合いとよむ老いを忘れて 清水 勝昭(小木町)

亡き父の齢はるかに我が越えぬ
      若き遺影を沁みじみ仰ぐ   嶋田 富美男(畑野)

春駒の囃して来たり昼下がり
      今年の幸を家に吹き込む   渡邉 威人(金井新保)

あと五年元気くだされ初詣
      孫がどうやら走り出すまで  渡辺 真理子(大和)

風雪も耐えつ飛翔の若き朱鷺
     初春言祝ぎ小佐渡をわたる  本間 實穂子(新穂武井)

初春の青春燃やす箱根駅伝
      感動のドラマ勇気をもらう  吹屋 チヅ(真野大川)

除夜の鐘遠くに聞こゆ吾が起ちて
      暦の表紙静かにめくる    中川 宏之(赤泊)

一年の戦い済んで除夜の鐘
      初月を浴びて次は卆寿よ   北見 フミエ(吾潟)

人の前つくろい話す吾の日日
      眞の友をと初日に祈る    忠平 絹枝(平松)

四十年君と歩きし登り坂
      降り始めるこの祝婚日    浜田 完三(高千)

松に朱鷺止まりて三羽新年の
      雲の動きを揃って見つむ   本間 朝子(中興)

枝揺らし落ちる雪手に笑みて食む
      幼児の正月思いなつかし   神蔵 涼湖(両津夷)

駅伝や正月番組観てばかり
   稽古(尺八)始めは四日になりぬ  榎田 繁雄(八幡町)

新雪を幸せそうに踏みてゆく
     二人のぬくもり老いにも伝ふ  菊地  由之(四日町)

高台へタオルを肩に露天風呂
      ホテル泊りの元日の朝    古木 髙一(加茂歌代)

侘寂の社殿に古き灯を点し
     年始の祈祷に氏子靜けし  本間 實穂子(新穂武井)

大日寺仏舎利塔に対座して
 日輪あがるを掌を合せ待つ(元朝) 畠野 かつじ(羽茂上山田)

こぶ鯛の弁慶くんがのっそりと
     カメラに親しみあるかの素振り 渡部 栄(千種)

【選 評】

〝特選〟は朱鷺二羽の飛翔に『二〇一〇年育む如し』と素直に夢を托したのが佳い。準特選の二首も「みどり児の瞳」を「二十二世紀を視る」『瞳』と認識する〝詩眼〟の鋭さが快く、また新年の「箱根駅伝」を遺影の夫に見せむとする「心遣い」が身に沁み入る佳吟である。続く「秀歌」七首も、それぞれの迎年の相が〝個性的に如実に把らえられ、沁みじみとした咏嘆となっている。
どうかこれを機会に当文芸への投稿をお願いし、選評とする。